ホタルに住んでもらう候補地づくり

天王森泉公園には、
公園になる前からホタルがいました。

ワサビ田もありました。

 

そんな自然のままの風景を
残していこうと、
地域の人達と立ち上げたのが
天王森泉公園です。

 

横浜市の田舎といわれる泉区ですが、
ホタルの住む場所は減っています。

 

ホタルの住む場所が点在していて、
ホタルが行き来できないと
近親交配が進み、
ホタルが滅びてしまいます。

 

それを防ぐために、
ホタルの住める環境をつくる作業を
しています。

 

天王森泉公園のホタル事情と、
候補地づくりについての記事です。

 

ここに書く内容は、
長年ホタルの候補地づくりに携わって
いらっしゃるYTさんから
うかがったお話をもとに
書いています。

 

 

公園になる前の天王森

2022年に訪れた時のワサビ田

公園になる前の天王森の場所は、
農家さんの土地でした。

 

きれいな湧水が湧き出しているので、
ホタルが住んでいました。

湧水を生かして、
ワサビ田をつくっていました。

 

それを公園になった今も
引き継いでいます。

 

この辺りは、ザ里山

山といわれる雑木林の
斜面地があり、
川が流れ、
田んぼや畑があります。

 

山といわれる雑木林は、
今はくわくわ森と呼ばれています。

 

ホタルとカワニナ

ホタルの食べ物はカワニナです。

 

池の藻をカワニナが食べ、
カワニナをホタルの幼虫が食べます。

 

カワニナは泥地で
日が当たるあたたかいところを
好みます。

 

泥についた模様はカワニナが歩いた跡です

 

一方、ホタルの幼虫は
砂礫地が好き。

せせらぎの石がゴロゴロ
しているところにいます。

 

ちょっと日陰で砂礫地がホタルの好み

 

天王森泉公園では、
カワニナが底が泥の池に
集まってしまうので、

時々、カワニナを捕まえて
ホタルの幼虫がいるせせらぎへと
移動させるお手伝いをしています。

 

天王森泉公園の池
ここにカワニナが集まります
よく見ると、カワニナの歩いた跡が
たくさんありますよ!

 

カワニナは胎生で
小さな貝を生みます。

 

その小さなカワニナ
1.2~1.5㎝くらいの小さな
ホタルの幼虫が食べます。

 

2023年11月3日のホタルの幼虫
大きさは1㎝より少し大きいくらいです
ホタルは幼虫でも光るのだそうです

 

小さなカワニナ
小さなホタルの幼虫が、
大きなカワニナ
大きくなったホタルの幼虫が
食べます。

 

ホタルの幼虫は3.5㎝くらいまで育ち、
八重桜が咲くころ、
せせらぎの岸の土に潜り
土まゆをつくり、
サナギになります。

 

天王森泉公園で
ホタルのためにしていることは、
カワニナの移動をすることと、
ホタルの幼虫をつぶさないよう
せせらぎになるべく入らないように
しています。

とくに、土まゆをつくり
サナギになるころには、
せせらぎに近づかないように
しています。

 

ホタルのサナギは、
積算温度600度、
45日ほどで羽化してきます。

 

ホタルは増やしすぎても
餌が足りなくて育ちません。

 

天王森泉公園の環境では、
1日25頭くらいのホタルが飛ぶ
状態がベストなのだそうです。

 

ホタルは100の幼虫が
生まれたとしても、
6頭ほどしかホタルに
なれないそうです。

 

ホタルが減ってきてしまうと、
近親交配が進んでしまいます。

 

近親交配すると、
奇形や病気になるリスクが高まります。

繁殖能力も下がると言われます。

結果、種が絶えることに
なってしまいます。

 

なので、ホタルたちも
別の場所で育った近親ではないホタルと
交配することが大切です。

 

そのためには、ホタルが住む場所が
点在していることが理想です。

ホタルが飛んで移動できる範囲に、
ホタルの住む場所がいくつもあると
最高です!

 

そんな状況をつくるために、
ホタルに住んでもらうための
候補地をつくっています。

 

ホタル研究所と呼ばれる場所の開拓

その候補地がホタル研究所です。

でも、ホタルはいません。

 

ホタル愛好家の方が
そこでホタルを育てていた時の
名称がそのまま残っています。

 

地主の方がその土地を売りたいと
いうことでホタル研究所は
なくなりました。

 

ホタル研究所跡地は
そのまま放置され、
20年間でうっそうとした
林になりました。

 

そこを3年前、
天王森泉公園の一部にすることになり、
ホタルに住んでもらう候補地に
しよう!ということになりました。

 

最初は、うっそうとした木々を
切り倒すところからのスタートでした。

 

木を切り倒して明るくなったら、
アメリカセンダングサ
繁茂してしまい、
大変だったそうです(;^_^A

 

そんな苦労と努力を重ね、
今は、小さな泥の池が3つある
清流が流れる場所が復活しました。

 

けれども、天王森泉公園から
ほど近いところに幹線道路ができ、
湧水の水量は減っているそうです。

 

この辺りはきれいな湧水が
たくさん湧く地域。

そんな湧水を守っていきたいです。

多くの方々にそのことを
知っていただきたいです。

 

ホタル研究所跡地の整備

ホタルに住んでもらう候補地を
整備する作業は、

  • 草刈り
  • 水の流れを良くする
  • カワニナに居ついてもらう環境づくり

です。

 

月に1回の活動です。

3月。

男性陣は水たまりにまで
はびこったセキショウを抜き、
女性陣が山との境に
土留めとして植えました。

 

セキショウの花が
たくさん咲いていました。

その他、男性陣は池が浅く
ならないように、池の土を
掘り出しました。

 

どろだらけの作業です!

 

4月。

セキショウや雑草が茂り過ぎて
しまうので、草刈りをしました。

草刈り前

刈った草は、道に敷きます。

そうすると、道に雑草が
生えるのを防ぐことができます。

刈ったセキショウの葉は
ショウブのような
さわやかな香りがします。

草刈り後

少しはスッキリしたでしょうか!

カワニナやホタルに
好きになってもらえるといいな!

 

ここでの楽しみの一つは、
生き物観察です。

 

明日は、ホタル研究所跡地で
4月に見られた生き物たちを
ご紹介したいと思います。

 

すべてに感謝☆